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​種 苗 生 産

 種苗生産(Seed production)   

出荷時まで「数量」「質」共に不明な(粗放的)カルチベーション+裸吊り

ホタテ貝殻に付着した「連」の状態で竹(コンポーズ)筏から垂下する養殖方法。

※ 問題点:

・「量」養殖実数の把握が困難(養殖初期段階の食害波浪時の脱落)➡ 計画生産が困難

・「質」付着状況に起因する外観および肉質の統一性が低い

・「手間」ホタテ板からの脱塊作業に手間がかかる

※ 出荷時まで養殖実態の把握が困難で計画生産性が低い

天然採苗稚貝(養生)

貝殻付着成貝(カルチ養殖)

貝殻付着種苗(カルチ種苗)

脱塊作業(機械作業)

垂下養殖(裸吊り)

脱塊作業(手作業)

養殖初期から養殖実態の把握可能な(集約的)シングルシード+網篭

セパレートした稚貝をまとめて「収容器」に入れ、延べ縄式フロート筏から垂下する養殖方法。

※ 問題点:

・牡蠣類は収容器の中で貝同士の付着により「集塊」を形成するので、物理的な成長阻害を起し易い

・種苗単価が高価な為、生産歩留まり次第では養殖初期段階から採算割れを起し易い

・収容器が必要な為、余分な資材償却経費が掛かる。

工事中

〇 高密度養殖 管理の省力化技術 ​②脱塊作業を不要とする殻のキャップ形状化 

 防汚収容器で育成する事で、網地の付着物による流通阻害が無く、養殖器内での餌料環境が平均化する為、高密度飼育(上下重ねての飼育)が可能となる。防汚収容器で育成する事で、シングルシード種苗初期段階でキャップ状の殻形状を形成し、飼育篭の波浪などによる上下運動する際に、物理的に右殻が常に上を向く状態を形成する。常に上下の整合性を得る事で収容器内でのイワガキ同士の固着を防ぎ、脱塊作業を軽減可能とした。※左殻は固着したがり、右殻(稜柱層)は付着を防御する傾向が強い性質を活用し、防汚処理した網篭とキャップ状外殻の種苗を組み合わせる事で、特別の操作無しに、高密度飼育、形状均一化、身入り度の平均化を高い確率で達成出来る。

収容器内の貝同士の「集塊」対策+「食害」対策

防汚収容器+食害防止ネット+キャップ形状形成によるセパレート養殖方法

​「カキ養殖の課題」

①計画生産(生産量および品質基準の確立:粗放的カルチ養殖➡集約的シングルシード養殖へ)

②技術開発(貝:選抜育種による優良品種作出・専用収容器および付着物対策と省力化)

③経費圧縮(種苗単価の低減:カキ礁の特性であるカキ類の選抜付着と付着物防御効果を活用)

④市場開拓(新商品開発と国際流通を見据えたカキ品質の国際規格化)

(天然採苗による安価な自家生産のシングルシード種苗と養殖初期からのグレーディング) 

・カキ礁➡劣化ホタテ貝殻で天然採苗➡防汚篭内で自ら剥離(省力化)➡疑似シングルシード

・食害防止網篭育成➡大小選別(機械篩)➡計画生産を実現

・生産物の現状把握=準工業製品的な計画生産性➡「量と質」の明確化➡計画流通の実現

・国際流通には価値観共有の為の明確なグレーディング規格構築が必須要件

佐賀県鹿島市沖のカキ礁への試験採苗器設置状況と種苗回収状況 2011 協力参加

※ 本件照会先:独立行政法人 水産総合研究センター 経営企画部 広報室 

「カキ礁天然採苗コレクター」設置図

○コレクター ホタテ貝殻80枚を一連 全長80cm 100連8,000枚 鋼線縫い

○連結方法  連は6mmクロスPEロープ、幹綱は18mm三つ打ちPEロープ 1m間隔、幹綱全長100mを指定場所に重ねて設置

○設置方法  PEフロート1尺玉 (必要であれば簡易浮標灯)  *カキ礁水深2~3m時のコレクター設置回収を想定し、省力化を目指す。

カキ礁(有明海)

【調査の背景】 3月11日に発生した東日本大震災は,地震直後の大津波によって北海道から九州の広い範囲で水産の現場に甚大な被害を与えました。中でも震源地に近い岩手,宮城両県のカキ,ワカメなど養殖漁業は,海上ならびに陸上施設の大部分が流出・破壊されたため,壊滅的な状況となりました。一方,宮城県はカキ養殖用の種苗シェア約9割をしめる一大産地であったため,影響は被災地だけにとどまらず,全国各地の養殖現場では次年度以降の種苗確保が緊急かつ大きな課題となりました。西海区水産研究所では有明海を重要な研究フィールドとしていますが,この海域の奥部には日本一の面積を誇る干潟に加え,およそ1,000平方キロメートル(東京ドーム21個分)にも及ぶカキの群落(カキ礁:図1)が広がっています。私たちは,これまでカキ礁の環境浄化機能や多様な生態系に係わる役割を調査・研究してきましたが,この度の震災で生じた養殖カキの種苗安定確保に向けた課題に対応するため,①カキ礁における安定採苗手法の開発,および②得られた種カキの養殖用種苗としての評価について試験を実施しました。

 

【試験の内容・特徴】

1.試験①:カキ礁における安定採苗手法の開発

1)実施日時 2011年5月28日~9月5日(100日間)

2)実施場所 佐賀県鹿島市塩田川河口カキ礁

3)協力機関 (株)西海養殖技研ほか西九州地区貝類生産研究グループ8社

4)結果の概要・天然種苗コレクターとして多く用いられるホタテ貝殻をカキ礁の上へ直に横置きで100連設置した。

・100日後にはホタテ貝殻1枚あたり50個以上のカキ種苗(1~2cmサイズ)を採苗できた。

・横置きのコレクターにはフジツボやイガイなどの動物性付着生物がほとんどつかず良質の種苗が得られる。一方,縦に設置した場合はカキ以外の生物が多量に着生する事を確認した。

・カキ礁での採苗は一昨年より3回実施しているが,毎年安定した結果を得られた。

2.試験②:得られた種カキの養殖用種苗としての評価(中間評価)

1)実施日時 2011年5月28日~9月5日(100日間)

2)実施場所 長崎県平戸地区カキ養殖場ほか5地区

3)協力機関 (株)西海養殖技研ほか西九州地区貝類生産研究グループ8社

4)結果の概要

・2010年夏季にカキ礁で採苗され、1年間カキ礁上で養生されたカキ種苗を4月中旬受入と5月下旬期受入の2期に分けた養殖試験に使用した。

・水温上昇した夏場に成長が一時停滞,これまで大きな問題となっていた宮城県産の種苗で発生する大量死亡(50~60%)は殆ど認められない。

・宮城県産の種苗では,殻体成長は早いわりに、産卵後の夏場以降の回復と身入りが遅い傾向があり,地域によっては需要が見込まれる年末期の販売には身入りが間に合わず出荷時期が翌年の春までずれ込む事が報告されている。今回の試験地域では、夏場の殻体成長は遅く小粒ながらも高い生残率と産卵後の夏場以降の回復と身入りが早いことが報告されている。

・今後,秋~春の出荷時期に再度宮城県産の種苗と成長度(個数/㎏),生残率(個数/付着板),身入り度(肉重量/総重量)等を比較する。

・さらに今年採苗した種苗を秋以降に養殖試験に使用し,成長度,生残率,身入り度等を比較する。

 

【成果の活用】

1.養殖用カキ種苗の安定的で多様な入手に役立ちます。

2.今まで大きな問題となっていた養殖カキの夏場に生じる大量死亡、販売早期の身入り不足を解消するなどの対策として有効な技術である可能性があります。

3.今後,カキ礁での採苗技術およびそれらを用いた養殖試験を継続していくことにより,カキ養殖で生じる問題を解決し,様々な養殖形態に対応することが可能となります。小粒ではあるが夏場の斃死が少なく、早期の身入りが期待出来るなど、既存のマガキ養殖とは異なる、新たな市場を形成する可能性があります。

カキ礁にて天然採苗を実施(ホタテ貝殻・樹脂製付着板=脱塊の省力化目的)

カキ礁にて天然採苗を実施(種苗コスト削減が目的)

※ カキ礁の特性:①海底から約20㎝まではフジツボの付着が見られない(懸濁質の粒度が関与)

※ カキ礁の特性:②海底から20㎝まではカキ類(マガキ・シカメ)のみが着底付着

カキ礁以外で漁場では「天然マガキ種苗」の養生時に、度々フジツボの大量付着が起きる

​◎失敗からの見出し

※ マガキのコレクターとしてホタテ貝殻連をシーズンはずれに入手した処、貝殻表面が粉を吹いた状態の貝殻が納品、漁場で天然採苗後、回収した連を裸吊りで中間育成した際に、付着した種苗の剥離落下が多発(付着強度が低くなっている為か?) ➡ 急遽リカバリーの為に剥離落下する種苗の回収を目的とし、付着貝殻を防汚ネットに入れて育成 ➡ 連の付着稚貝(裸吊り)の中間育成と同様に篭底面から回収した剥離落下稚貝を「シングルシード用の防汚網篭で育成」 ➡ 結果は既存のシングルシード種苗と同様に成長  

塩酸処理後に1年放置

天然採苗

回収後の仮吊

剥離脱落した付着板

低比重対応沈下式フラプシー

脱落稚貝を網篭で回収

キャップ形状を形成

疑似シングルシード育成

早期に脱落回収した稚貝の形状は通常(人工採苗)のシングルシードと大差ない

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貝殻に残った稚貝は丸篭育成へ

​〇天然種苗を「安価」に「疑似シングルシード化」

※ 天然採苗で疑似シングルシードを安価に得る方向へと発想を転換、ホタテ貝殻を人為的に劣化(塩酸処理後に野外放置して表面劣化)した天然採苗器として使用 ➡ 想定通りに付着した稚貝は成長すると自重で貝殻表面から篭底面へ自然に剥離落下(収容器の底面へ付着するので防汚加工は必須)➡ 近年開発導入が始まった樹脂製付着板より種苗の「付着率」は高く、「専用の剥離機器による剥離」作業および「付着板の再生作業」も不要で、「稚貝育成作業の省力化」と「種苗単価の低減」には有効

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​工事中

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