真 珠 養 殖
「再生医療技術を真珠養殖業に適用する可能性の検討業務」
「再生医療技術を適用したCoat真珠核を使用しての真珠養殖試験」および「試験結果により得られた真珠の価値総合的検証」富士フイルム株式会社 高機能材料開発本部
課題名-「Recombinant Peptideの真珠養殖業への適用可能性の検討」 -2018~2022
※ 供試原核製造、母貝育成、挿核施術、養殖管理、浜揚げ結果分析、外部環境要因との分離、効果影響及び試験精度の判定、相関分析など
「Recombinant Peptide Coat核による大珠作出チャレンジ」 (株)西海養殖技研-2022~
6月中旬挿核 14匁 フジフィルムCoat核3.0分(9.09㎜) 翌年2月中旬浜揚げ 約240日経過 剥身時 直径11.1㎜ 巻き厚(両面 2.01㎜ 片面1.005㎜)
挿核時 14匁 ➡ 浜揚時 47匁(通常は25匁前後) 貝柱重量17.3g(通常は8g前後) 当年物としては類を見ない大きさに成長
挿核時3.0分核9.09㎜➡剥身時 直径10.7㎜ 巻き厚(両面 1.61㎜ 片面0.805㎜) 表面(鏡面クラス) 照り(高輝度) 重心位置ずれ無し(高真円度)
血球細胞蝟集を改善目的とした対策「Coat核 」技術による対応
「従来技術」Blank 真珠核
「パールサック形成初期の血球細胞蝟集」
パールサック内
試験剥き
蝟集映像化
二値化映像
(挿核後60日経過に試験剥身)血球蝟集痕が顕著 浜揚げ時の珠染みに繋がり、商品化には漂白作業が必須
「新規技術」Recombinant Peptide Coat核
「Recombinant Peptide Coat核」FUJIFILM製 2009
核原貝から厳選製作
Recombinant Reptide
FUJIFILMにてcoat処理
Coat核
(挿核後60日経過に試験剥身)血球蝟集痕が殆ど見られない為、漂白作業は高い確率で不要となる
従来Coat核との違い
従来Coat核
「抗生剤」のCoat核 施術後の殺菌薬効による蝟集痕の軽減 (但し挿核環境差による影響が大きく影響)
新規Coat核
「再生医療技術」を適用したCoat核 施術時の異物認識低減による蝟集痕の高い確率での軽減を確認
「パールサック形成初期のメリット」 ※使用条件-挿核母貝の抑制効果が強い
一級品(低明度)
花珠(低明度)
断面:核表面に蝟集痕あり
真珠層(蝟集痕を含む)
花珠でも明度にバラつき有り
一級品(高明度)
高明度は均一性が高い
断面:核表面に蝟集痕無し
真珠層(全て真珠質)
花珠(高明度)
※ 一級品(花珠)面テリ巻きが優れていても、蝟集痕があると実体色として影響し明度が低く暗いイメージが出る。
※ 剥き落した珠を0.25㎜サイズ別に並べた状態
「真珠生産者の所感」
・使用するだけで、特別な技術を必要とせず一級品以下の不良品出現率が飛躍的に低くくなった。
・当年物真珠の場合、特にシミが全く無い真珠は「浜値価格」向上に繋がる。
・出荷時の等級選別作業が大きく軽減(原核サイズ統一の場合、フルイのみで巻厚選別)
※ Coat核の品質が重要 同一核サイズ(全量10点計測0.01㎜誤差以内・高真円度)
「真珠ユーザーの所感」
・真珠の魅力向上 唯一(生物が育む+剥き落して完成)宝石としての真珠持つ神秘性への原点回帰
明確なトレーサビリティと、加工を必要としない完璧な真珠としての高い信頼
ネックレス連に期待(同一ロットによる今までに入手不可な統一性の高い品質)
「パールサック形成初期の巻きに関するデメリット」※条件-挿核母貝の抑制効果が弱い(失敗例)
従来のCoat核は使用する抗生物質の毒性に起因して、抑制効果が弱い(低活性)と脱確率が高くなる傾向が確認されていたが、抑制効果が弱いと富士フィルムCoat核は毒性が無いので、脱確率が低い反面、メスキズ周辺の活性が高く、血球蝟集が進み、ハネ珠と呼ばれる珠突起や、メス通しに起因(ピースの残漿細胞片が活性化し真珠質形成)する突起キズのある珠(尾引き珠)が極端に増える傾向が確認された
雑物侵入に伴う血球蝟集痕も形成され易く、通称ハネ珠が極端に増える傾向が確認された
無核真珠と同様にピース細胞の活性化により真珠質の異常分泌が促進され丸みのある尾ひき珠が多い
現在、母貝生育の遅延で挿核直前まで母貝サイズを大きくする必要があり、抑制作業は短期抑制(オゾン)が主流なので、従来品の抗生剤使用のCoat核との相性は良いが、毒性の無い富士フィルムCoat核でアドヴァンテージを得るには長期の深い抑制効果が前提である事が判った
優良な真珠核を求めて
「真珠核 原材料調査 」中国 湖北省産 -1994
「真珠核 原材料 調査」米国 ミシシッピ州産 -1993
「不良核」キョロ核 ギラ核 ヒビ核 ワレ核 低真円度 -1994
部分的な反射
反射光形状
使用原貝部位に起因
反射輝度の3DG
レンズ状反射
透過光分析
表面の乱反射
二値化映像
※ 真珠核の「品質数値化」による核の「グレーディング」により、「最高品質の核」を使用する事で、面テリの均一化の精度(核のバラついた反射光が真珠層を透過して、真珠に影響)を高める(真珠層を厚く巻かせる事以外、現在の加工技術でも不可能)
工事中