top of page

中 間 育 成

カキ類(イワガキ・マガキ)の中間育成時の省力化技術

〇 高密度養殖 管理の省力化技術 ​②脱塊作業を不要とする殻のキャップ形状化 

 防汚収容器で育成する事で、網地の付着物による流通阻害が無く、養殖器内での餌料環境が平均化する為、高密度飼育(上下重ねての飼育)が可能となる。防汚収容器で育成する事で、シングルシード種苗初期段階でキャップ状の殻形状を形成し、飼育篭の波浪などによる上下運動する際に、物理的に右殻が常に上を向く状態を形成する。常に上下の整合性を得る事で収容器内でのイワガキ同士の固着を防ぎ、脱塊作業を軽減可能とした。※左殻は固着したがり、右殻(稜柱層)は付着を防御する傾向が強い性質を活用し、防汚処理した網篭とキャップ状外殻の種苗を組み合わせる事で、特別の操作無しに、高密度飼育、形状均一化、身入り度の平均化を高い確率で達成出来る。

収容器内の貝同士の「集塊」対策+「食害」対策

防汚収容器+食害防止ネット+キャップ形状形成によるセパレート養殖方法

タイラギの潜砂行動を助長する中間育成技術(斃死対策)

干出漁場で梅雨時期の降雨による比重低下(タイラギは完全に閉殻できない為、特に浸透圧変化に弱い)に対応する為に、海底基質に浅砂する事で急激な環境変化に対応して生息している。(干出漁場においてはタイラギ生息域の潜砂し易い基質組成は重要)干出しない浅深漁場においても環境変化の大きい夏場(低溶存酸素)は潜砂している。海底土壌が浅砂困難で海底から露出するとフジツボなどの付着物やポリキータなどの寄生虫侵入により高い確率で斃死に繋がる。タイラギ自ら浅砂をする為に海底基質内ですっぽ抜けを防ぐアンカー効果を得る為に大きめの基質(サルボウ貝殻片など)に足糸で付着して高いアンカー効果を得て潜砂している。海底に流れがあり高比重の貝殻片などが露出した上に柔らかい基質が堆積している漁場には大型貝の生存が多くみられる。夏場に小型(殻長15㎝位)のタイラギの立枯れしている漁場でも浅砂環境が整っている場所は潜砂して生存が見られる。貧酸素水塊が広範囲に形成されていても基質に深く潜砂する事で少数ではあるが生存する事が確認された。良好な浅砂環境を養殖器の中で人工的に作出する事(足糸付着板の設置)で海面からの垂下養殖においても生残を可能とする技術を開発した。

自然界での潜砂状況

自然界での潜砂状況

潜砂困難 立枯れ斃死

垂下養殖 底面付着器設置

周囲はウミヒバリガイのマット

抵抗の大きい貝殻などをトラップ

垂下養殖 立枯れ斃死

足糸で基質を大量トラップ

開閉により基質上に上昇

同じサイズの貝が集中

垂下養殖 フジツボ付着で開閉困難

ザルを通し足糸で基質をトラップ

「底面付着器」設置で収容器に設置したアンスラサイト基質への安定した潜砂が可能となり、立枯れ斃死が大幅に減少

〇 潜砂性タイラギの垂下養殖技術  ​貧酸素水塊 低比重 基質への潜砂困難(立枯)  対策

洋上浮体施設(竹筏・フロート筏)から底面付着器を使用した防汚収容器で垂下育成する事で、タイラギの安定生産を達成した。貧酸素水塊や低比重など環境変化の大きい海底から切り離し中層へ垂下する事で生存率を高める技術を開発した。

付着物対策としては貝に無害なシリコン系防汚塗料による収容器への防汚加工する事で対応した。

立ち枯れと言われる貧酸素などによる海底からの飛び出し斃死への対応は、収容器の基質内底面付着器を配する事で、タイラギ自体の潜砂能力(環境変化時には基質に深く潜砂する事で回避)を高め、高い生残率を確保出来る技術を開発した。※成長に伴い潜砂の際に足糸が掴む粒度の大きい基質(サルボウなどの殻片など)が無い漁場で立ち枯れ多発。

水深5m 垂下養殖風景

上面の表面積を二倍にしたザル蓋

左:付着器 無し  右:付着器 有り

底面付着器 有り 潜砂

特許概念図

トリカルネットに足糸付着

防汚収容器 3ヵ月経過

人工採苗貝による量産タイラギ

養殖タイラギの閉殻筋

水質環境変化の少ない洋上のフロート筏を用いた「基質養殖によるタイラギの量産」が可能となった。

〇養殖実態の把握による計画生産(工業製品生産に準じる数量把握とグレーディング)

​「あこや稚貝の中間育成技術」省力化  平均化  斃死対策

※ 初期段階からサイズを揃える事により、貝自らの移動拡散嗜好の助長に繋がり、成長効率が高くなる。

篭網防汚=網への付着防止​

付着器を芯として付着拡散

貝自ら立体的に移動拡散

成長差により大小混在

大サイズの貝から移動拡散

貝自らの移動拡散で平均化

貝同士の付着による変形防止

高密度飼育の弊害防止

〇中間育成時の付着物防御(付着器+収容器極細網目の防汚による好適付着流速コントロール)

フジツボ付着時の付着基盤選択性を活用した付着防御

「付着嗜好」付着生物の付着要因である「付着流速」と「基質表面」
①「付着流速」付着時期にあるフジツボ浮遊幼生が付着基盤に付着する際、好適付着流速が存在する。
②「基質表面」フジツボ、イガイ等の蛋白質由来の生物は付着基質表面の微生物フィルム形成が要件となる。
③「基質形状」
粘着ホヤ、複合ホヤ等は平滑性を好む付着嗜好が認められる。

「硬度=安定感」の異なる付着器と「防汚」収容器との組み合わせで、貝自らの移動拡散嗜好(成長に伴いより安定した付着基盤を求め移動拡散)助長し、6月~9月の水温上昇期及び高水温時期に重なる分殖作業=ストレスとなる剥離採集作業を不要とする事で、懸案の高水温時の中間育成稚貝の斃死リスクを大きく軽減、加えて分殖作業の「省力化=挿核作業と重なる繁忙期」、同一サイズの稚貝が自ら移動拡散=揃う事により、サイズ混在に比べ、高い生産効率が期待出来る。

収容器の網篭防汚処理➡通水長期確保➡収容網篭内面への移動拡散困難➡付着器を芯とした種苗貝の強制付着➡成長に伴い付着器上で自ら移動拡散➡7~9月の高水温時期の分殖操作を無くす事による斃死軽減+省力化+平均化

選択性の有る付着生物の収容器内防汚メカニズム

防汚PEラッセル網篭+専用付着器

アコヤ稚貝 3ヵ月

稚貝表面に付着物無し

左:防汚 右:無し

フジツボが付着した稚貝

マガキへの付着防御

アカガイの付着防御

bottom of page