食 害 対 策
〇 食害対策(Countermeasures against feeding damage)
「食害生物」
①養殖初期(種苗)
・発生時期と生息場所の重なる魚類(クロダイ・ブダイ・アイゴその他稚魚)・貝類(サツマボラ・ニシ類などの巻貝)・甲殻類(カニ・エビ)による「種苗貝の食害」が深刻化。
アイゴ
サツマボラ
アミメハギ
メジナ
ウミニナ
アカニシ
オヤビッチャ
イシガニ
②養殖後期(成貝)
・生息場所の重なる肉食系の魚類(クロダイ・イシダイ・ブダイなどの成魚)・肉食系の貝類(サツマボラ・ニシ類などの巻貝)・甲殻類(イシガニ)・タコ類(マダコ)による「成貝の食害」が深刻化。(高水温や比重低下などによる主要な餌料枯渇に起因)
・ヒラムシ(扁形動物渦虫綱 多岐腸目類)は斃死貝発生時に誘引蝟集し被害大
・ポリキータ(穿孔性多毛類)は殻体外部の稜柱層剥離部分や外部露出刃先から侵入
クロダイ
イシダイ
ブダイ
ナルトビエイ
ポリキータ
ヒラムシ
浸透圧差で殺傷駆除(カキ類:ポリキータ・ヒラムシ・サツマボラ)
※薬剤を使用しない、濃塩水と淡水の浸透圧差のみを利用した「環境保全型」の駆除技術
種苗貝段階
マガキ カルチ採苗器 淡水処理(淡水全換水orかけ流し 1時間)500L 30連×10本
成貝段階
淡水 ➡ 濃塩水 ➡ 淡水 浸漬、より大きな浸透圧差を作り出し、短時間で駆除効果を高める
物理的な食害防御(カキ類:クロダイ・イシダイ ナルトビエイなど)
従来方法 「裸吊り」
カルチ方式 イワガキ種苗(人工採苗・付着器=ホタテ貝殻)
針金通し
沖出し30日目
撚りロープ
沖出し30日目
食害対策 「網篭養殖」の導入
カルチ方式 イワガキ種苗(人工採苗・付着器=ホタテ貝殻)
防汚「角」沖出し篭
沖出し後30日目
防汚「丸」沖出し篭
沖出し後30日
※食害対策 注意点「種苗歩留り向上による弊害」
食害防止ネット導入によって、付着盤上の生残数が増加するので、事前に「密植」にならない様に対策が必要となる。
※従来の食害減を想定した「厚種」でスタート
●「厚種」:密集して付着 ➡ 成長すると貝同士の重なりが多い ➡ 収穫脱塊時の形状は歪
食害が無、生残数が多「密植」事前淘汰必須
沖出し後 120日目(殻長35㎜)食害無し
※食害防止による密植を想定して、「薄種」でスタート
●「薄種」:事前にタンク内で粗密に付着 ➡ 貝の重なりが無く、成長と形状が改善 ➡ 脱塊時までの成長促進
採苗付着器(ホタテ貝殻)
食害防止網
沖出し後3日目
粗密に見えるが適性密度
(極小サイズでの早期沖出し ➡ 室内飼育期間の短縮 ➡ 餌料環境改善 ➡ 成長促進 ➡ 平均化・大型化)
沖出し後60日
沖出し後 120日 サイズと形状が平均化されている為、脱塊以降の養殖操作性が高い。
対策資材-裸吊用の食害(クロダイ)防止「ネット」
表裏5貝をオフセットして強制付着、1連×10枚で計100貝を一吊りとして、食害防止ネットでカバーして垂下養殖。
強制付着
10枚×1連セット
1ヵ月経過
3ヵ月経過
6ヶ月経過
マベガイ養殖においてナルトビエイ食害対策として開発した食害防止ネットをイワガキのクロダイ食害対策に転用。
対策資材-裸吊用の食害(イシダイ)防止「金網」
イワガキ1年貝を裸吊で沖出し直後、大型イシダイによる食害で全滅、イシダイ対策として金籠で食害防御
粉体塗装金網
10枚×4連 1ヵ月経過
3カ月経過
8ヵ月経過
ヒオウギ天然採苗コレクターの食害防御用に開発したガード金篭をイワガキのイシダイ食害対策に転用。
対策資材-シングルシード育成篭の食害(クロダイ)防止「防汚網篭+防汚食害防止網蓋」
イワガキ種苗(人工採苗)イワガキが網篭に付着しない様に網篭をシリコンで防汚処理
フラプシー育成
60日育成
90日育成
150日育成
対策資材-アカガイ種苗の食害(アイゴ)防止「食害防止防汚外網」と「沖出し篭用 防汚網蓋」
※浮遊幼生着底初期の極小サイズでの早期沖出しが目的。
「放流事業成功の必須条件」:①絶対的な放流量 ②大型サイズでの放流 ③持続可能な安価な生産コスト
〇陸上飼育期間の短縮が生産数向上の最大命題(飼育期間中は大量の餌料が必要➡飼育餌料の生産力=種苗生産能力)
〇早期沖出しの弊害:食害魚の繁殖期と重なれば防御網内に侵入する稚魚も小さいので、防御網内で食害しながら成長
※食害稚魚の駆除:推奨は篭替え 短時間の干出は有効だが死魚の除去が必須
防汚 極小目合い外網
沖出し篭+食害防止蓋
篭内部で食害魚も成長
付着藻類が食害を誘引
対策資材-アサリ種苗 食害防止用「被せ網」(ワンオフ品) クロダイ対策
※食害防止被せ網へアオサなどの藻類が付着繁殖すると、降雨期に比重低下で白腐れしたアオサが海底表面に密着し、物理的密閉を起こし、酸欠による大量斃死貝に繋がっていたが、網地に貝に無害なシリコン塗料を含浸する事で付着防御が可能となり、アオサが付着した被せ網が原因となる斃死を軽減する事が可能となった。
防汚PEラッセルネット
防汚PEゴルフネット
設置性と耐久性とリサイクル性を高めた加工品
被せ網の構造改良により、防汚再生、設置簡素化、耐久強度を含め、リサイクル性を高め、導入コストが回収し易い。
対策資材-タイラギ種苗 侵入防御用「楯網」(ワンオフ品) ナルトビエイ対策
※ノリ漁場と隣接する為、網の付着物対策には、「化学的」な忌避剤を使用しない事が条件、弊社独自の「物理的」な撥水性を持ったシリコン塗料を含浸させる防汚技術を転用し、漁場環境の保全に配慮しながら、付着物抵抗による波浪時の網の倒壊防止が対応可能となった。
対策資材-食害防止用 防汚処理 「網蓋」例
対策資材-食害防止用 トリガイ・アカガイ・アサリ・サルボウ
工事中
ポリキータ(穿孔性多毛類)侵入による症状例
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扁形形状を生かし、開口部分から内部侵入し、内部組織を直接食害 遊泳能力が有り伝播拡散力が大きい