付 着 防 御
海棲生物の付着防御技術
【付着防御に関するアプローチの違い】
1.「工業的」
化学的毒性による殺傷忌避 防御効率優先思考 高効率防御 船舶関連産業 亜酸化銅 酸化亜鉛 毒性による殺傷忌避での付着防御 殺傷効率優先 殺傷成分溶出効果を高める技術 加水分解 自己研磨 水和分解 有効成分溶出に伴う海底への沈降と残留は海底生物環境の急激な変化も伴う
2.「生物的」
物理的 撥水性 付着選択性のある生物では付着「嗜好」で阻害 水産増養殖業 マガキ等の二枚貝養殖業では特に化学的忌避剤は使用不可
3. 「直接的」
「工学」的な基質成分や基質表面形状に求めた試験⇒成貝で評価
「生物」的な選択性や嗜好性に求めた試験⇒付着期幼生貝で評価
4. 「間接的」
「付着珪藻などによる優先付着物」による付着阻害
「優先付着生物の付着誘引コントロール」
着底防止フィルター(物理的)
〇 他社塗料は船舶船底部などの「船舶関連」への使用を想定し開発。
〇 当該塗料は樹脂系網篭などの「漁業資材」への使用を想定し開発。
※ 下塗剤と上塗剤が必要で、材料費・施工費を含め高価になり易い。
塗料を防汚対象素材へ含浸させる事による上塗剤の一液施工法を開発。
バインダー樹脂や溶剤の改良で速乾性を達成。
※ 水産業での使用は施工性を含めコスト圧縮(1液施工など)が進んでいる。
※ シリコ-ン塗装コスト低減目的の上塗剤「一液」での含浸塗膜形成を完成。
〇 水産業から見る生物的なアプローチ
【付着嗜好性(選択性)を活用した技術】
※防汚した通水性素材(PE網地)で収容器内の付着期における流速をコントロール。
➀浮遊幼生が付着基盤に付着する際の「好適付着流速」を阻害。フジツボキプリス
網篭の目合いを小さくする事で収容器内の流速をコントロールし生産物へのフジツボ幼生の付着を阻害
付着流速の選択性を活用
好適な流速環境ではフジツボが付着
好適付着流速を阻害する事で防御
※ 他社との相違:元々「生物の付着嗜好を研究」生物の付着機構の特性を活用した忌避や誘引技術を開発
【知財情報】 特開2010-57432(P2010-57432A) 平成19年度 農林水産技術会議 先端技術を活用した農林水産研究高度化事業「大型二枚貝タイラギの環境浄化型養殖技術の開発」(産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願)【国等の委託研究の成果に係る記載事項】【発明の名称】 「海洋生物の付着防御器具」【概要】食用貝であるタイラギの殻体表面に、フジツボ、イガイ、カサネカンザシや粘着ホヤ、複合ホヤ等の海洋性生物が付着するのを確実に防御する方法及びそれに使用す る防御器具を提供すること。事前に防汚効果を持たせた通水性素材を貝の殻体に密着させて使用することで、(1)付着時期にあるフジツボ浮遊幼生が付着基盤に付着する際の「好適付着流速」を阻害、(2)付着基盤となる貝殻表面の微生物フィルム形成を阻害することにより、フジツボ、イガイ、カサネカンザシ等の蛋白質由来の付着「嗜好」を阻害(3)加えて「粗密な形状」から平滑性を好む粘着ホヤ、複合ホヤ等を防御する
「生物への影響」
「化学的」な「忌避性」(亜酸化銅・酸化亜鉛:殺傷物材=バイオサイド)の未使用。
「環境への影響」
「溶出タイプ」である「加水分解型」・「自己研磨型」・「加水分解型」ではない事。
付着防止メカニズムが非有機スズ系⇒非バイオサイド系⇒シリコン系である事。
「シリコン系付着防御塗料」の付着防御メカニズム
「非溶出タイプ」で塗膜表面の「物理的」な「撥水性」による付着強度の低減。
「従来型」防汚塗料のメカニズム
「溶出型」 化学的生物忌避剤依存
「次世代型」防汚塗料のメカニズム
「非溶出型」 物理的付着強度軽減
〇 ヒバリガイ 学名:Modiolus nipponicus (Oyama, 1950)
ヒバリガイの付着防御試験 (天然種苗稚貝を使用した防汚処理区と未防汚区への強制付着試験)
天然種苗を採苗器でトラップ
レンガを使用した付着板
左:直接防汚 右:間接防御
付着器を芯として均一に付着
吹付による防汚塗装
足糸で付着
ドブ漬けによる防汚
防汚収容器を使用した強制付着
15日経過 直接塗布 間接防御ともに付着防御効果を確認
工事中