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​母 貝 育 成

〇近年の夏場における種苗貝の大量斃死について

※「大量斃死」と「異常斃死」の概念は異なる

 「大量斃死」とは「大量」に斃死減耗した状態 数量的概念

 「異常斃死」とは「異常」に斃死減耗した状態 比較する対象により以下の2点に分かれる

      :「同一貝種」時系列(過去)の比較 過去の生残率に比べ斃死率が異常に高い

      :「周辺貝種」時系列(現在)での比較 周辺の生残率に比べ斃死率が異常に高い

※「斃死要因」は(先天的要因)と(後天的要因)で異なる

(先天的要因)近年の高水温期間の長期化に起因する「環境対応力」の不足が要因 採苗要件で天然と人工で異なる

 「天然貝」:「遺伝形質の変化」(自然界における人工貝との自然交雑などで変化)

 「人工貝」:「近交弱性」過度な選抜育種による種としての環境対応能力「幅」の狭小化 交配個体数の基本無視

      :「業績優先」タンク内での淘汰選抜(受精率・分割異常・成長異常)を軽視 販売時点の貝数を優先

※「採苗生産の3つの事業形態」 「種苗生産」は「養殖結果」と解離してはならない

 一貫メーカー」種苗・養殖・加工・販売)は常に採苗に逃げ場の無い結果がフィードバックされる

      ・安定した事業成立を前提とした「計画生産」に伴う「系統管理」「継代保存」は必須の基本要件 

      ・事業規模が大きく成る程、事業成果に直結した採苗段階からの連携コントロールが必須  

 民間種苗販売会社」は受注種苗を販売した段階で事業が成立・販売先の養殖成果(業者責任)とは解離

      ・販売する種苗に系統は存在するが、「系統管理」は採卵母貝入手先まかせで、養殖データの連携は無い

      ・購入する養殖業者の自己責任で系統貝種を選定するが、自社漁場特性とのマッチングは期待出来ない

 公共機関」は事業計画された配布数量達成で事業評価が成立・配布先の養殖成果(業者責任)とは解離

      ・地元養殖業者からの採卵母貝の入手が主で、系統・継代ともに養殖データの連携は無い

(後天的要因)頻繁に斃死発生する場所:「区画漁業免許」設定時に比べ変動している可能性が高い

 「異常気象」(高水温・低水温・低比重・貧酸素:垂下層に至る高水温による貧酸素水塊形成)

 「人為的な操作ミス」(密植・付着物による収容器の通水阻害・過度な洗浄作業)要:高水温に対応する作業変化

〇「真珠養殖における優良母貝とは?

①斃死率の低い貝​​​​​​​​​​​​​

 稚貝:温暖化に対抗する高水温耐性:近交弱性による弊害(選抜過多による生存バンドの狭小と均一化=大量斃死)

   :先天的要因→人工採苗におけるの系統(交配:採苗個体数・継代:系統保存)が確立・後天的要因を排除

 成貝:殻の厚い貝:ポリキータ穿孔による斃死が少ない=真珠質分泌力が高く真珠層で穿孔キズを巻き込み治癒痕

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穿孔性多毛類ポリキータ

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穿孔穴を真珠質で補修

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閉殻筋部は本来は致命傷

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治癒痕

②優良真珠の出現率が高い貝

 巻き:真珠質分泌量が多い:珠質=珠が厚く巻く 貝種別の評価:真珠質分泌量の数値化

    :使用核サイズの統一による真珠質分泌数量の数値化(巻厚ではなく、真珠質分泌体積総量の原核体積比増重%率 )

   ※出来た真珠の真珠質分泌量を数値化、貝種毎にグレーディング、選抜育種の資料とする。(大サイズは巻かない✖)

I20160201 真珠原核 MGP9882.JPG

使用原核サイズの統一

出来た真珠の直径計測

20171114 真珠.JPG

積層真珠質の体積換算

IMG_1962.JPG

厚巻きの真珠

 色目:唯一の遺伝形質である黄色色素の出現率が揃った貝 厚巻きは明度が低下 干渉色に必要な数値

​ 細胞貝採卵時、貝殻の黄色色素含有度合いを色彩計により数値化、個別切出し法で採苗、作出した細胞貝を使用

測定ウインドウ設定

曲面対応プログラム

RGB降順ヒストグラム

黄色色素含有度合いの数値化

 ※黄色色素測定時、特定の波長の光線を照射して、強調された反射光を測定する事で、検出数値を強調し選抜

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​上:白色系  下:金色系

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黄色色素の少ない系統

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黄色色素が多い系統

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左:白色系 右:金色系

③人為的な成長疎外を受けていない貝

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CIMG2288.JPG
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 育成:適性数量(成長を見越した1篭当りの収容入数による密植防止)

        (特に殻体成長が著しい沖出し初期)

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小サイズ=粗密に付着

成長に伴い密植傾向

15㎜前後でほふく移動鈍化

​密植を解決する為に分殖

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​   :通水保全(付着物による収容器内の餌料環境の悪化=高水温時の酸素欠乏

        (摂餌時条件の良い篭内部壁へ拡散付着を防止:貝自らが通水阻害要因となる

台形篭試験写真資料1.bmp
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​台形篭 40メッシュ

ブラックリーフ沖出し

沖出し後10日

網篭壁面に移動

   :付着拡散(成長に伴い殻体安定を求め、より硬い付着基盤を求め付着器上でほふく移動)

        (接触により移動拡散)

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ブラックリーフ

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70%遮光ネット

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安定した枠金に移動

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ブラックリーフに移動

   :集塊防止(付着器を芯とした均一な環境により貝同士の付着による物理的な成長阻害を防止)

        (均一な付着環境による生産サイズの平均化)

篭網防汚=網への付着防止

付着器を芯として付着拡散

貝自ら立体的に移動拡散

貝同士の付着による変形防止

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成長差により大小混在

大サイズの貝から移動拡散

貝自らの移動拡散で平均化

高密度飼育の弊害防止

 抑制:抑制篭による抑制コントロール時の精度と効果の均一性

④挿核に適した内部構造を有した貝

 挿核:核入れ空間の大きさを持つ貝 使用核サイズの均一性:適正核サイズの選定容易

   :閉殻筋サイズ 雑種強勢狙いの中東系(環境変化対応のため大型)と国産種との交雑は要注意

​ 採苗:作出目標の内部構造を設定し、採卵時に個別剥身により選別、生殖巣切出し法により選抜採苗

    閉殻筋の適性サイズ

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工事中

工事中

工事中

工事中

​「あこや稚貝の中間育成技術」省力化  平均化  斃死対策

※ 初期段階からサイズを揃える事により、貝自らの移動拡散嗜好の助長に繋がり、成長効率が高くなる。

〇中間育成時の付着物防御(付着器+収容器極細網目の防汚による好適付着流速コントロール)

 

工事中

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